アノマリーリスト

「アノマリー」とは、現代ポートフォリオ理論や相場に関する理論の枠組みでは説明することができないものの、経験的に観測できるマーケットの規則性のことを指します。以下に、いくつかの代表的なアノマリーを紹介します:

小型株効果(サイズファクター):時価総額の小さい企業ほどリターンが高く、時価総額の大きい企業ほどリターンが低くなりやすい現象。

割安株効果(バリューファクター):割安な企業ほどリターンが高く、割高な企業ほどリターンが低くなりやすい現象。

モメンタム効果:株価が上昇している銘柄は続伸し、下落している銘柄は続落するというトレンドが持続する現象。

リバーサル効果:パフォーマンスが低い銘柄ほど上昇しやすく、パフォーマンスが高い銘柄ほど下落しやすいという平均回帰が起こる現象。

低ボラティリティ効果:ボラティリティの高い銘柄は、低い銘柄に比べてリターンが低くなりやすい現象。

流動性アノマリー:流動性の低い銘柄のリターンが高くなりやすい現象。

これらのアノマリーを理解し活用することで、投資戦略をより有利に進めることが可能です。ただし、これらのアノマリーは過去のデータに基づくものであり、必ずしも未来に同じ傾向が続くとは限らないため、注意が必要です。

日本株30年投資経験に基づく厳選アノマリーリスト

東日本大震災以来、アベノミクスの登場により円が増刷、トランプ大統領の登場やウクライナ侵攻などの不確実性により資源高、日本の貿易収支は赤字となり、信じられないような円安基調が続いております。

ここで経常収支までが赤字となりますと国力の低下につながりかねません。政府・産業界共に国民の貯蓄性向から株式への投資に対する熱度を上げることでインフレを起こし、税収を確保、天文学的な国家債務を低減させる方策しか国として生き残る道がなくなっているように思います。

今後は賃上げという心地よいフレーズの裏で、地獄のような物価高と金利上昇局面からは逃れられず、投資をしないと生きていけなくなってしまいます。

リスク資産としては債券や不動産もありますが、日本は固定資産税も高く、債券では個人取引の流動性も低いため、投資と言えば日本株しかありません。米国株には為替リスクが存在します。

日本株は新NISAの導入によって、今後数十年はデフレの時代には考えられなかったレベルでの上昇が期待されています。

しかし、株式はそれほど簡単ではなくメンタルも要求されます。そんなときに役立つのは何と言っても現場の経験則。

そこで今回、30年間のファンドマネージャーとしての勤務経験に基づく、確度の高い厳選したアノマリーをご紹介いたします。

4月:
・機関投資家の新年度資金流入により10日前後まで上昇
・ゴールデンウィークに入る1週間前に下落
・水曜日下落幅最大のおそれ

5月:
・連休谷間はじり高、取引閑散
・米国株式配当月につき第2週まで上昇
・5月に売れ(セルインメイ)は相場が高いから現金化せよという意味
・第3週末前後に安くなる傾向
・MSCIリバランスが月末に予定

6月:
・持ち合い株などの売りが停止
・MSQ前に停滞、株主総会集中日(6月第4週金曜日)にかけて上昇
・月末にかけて株主総会が集中

7月:
・日経平均他指数採用のETF配当権利取りに伴い七夕天井を付ける
・指数系ファンドの配当落ちに従い25日向かい底を打つ(天神底)

8月:
・米国債の利払いによる円高(盆前後の3日間)に伴う指数下落
・20日前後にドル円の底入れとともに日経平均も底打ち

9月:
・1日は統計的にもっとも上昇しやすい日
・リーマンショックなどの歴史的暴落を統計に「9月は下落」というシグナルを出すが、MSQ前に停滞、平時は配当取りでTOPIX優良株優勢
・3月よりも配当権利日に向けての上昇確度が強い

10月:
・秋には魔物が棲むと言われており何が起こるかわからない
・何も起こっていないのに株が安くなれば深く考えずに買いに入る

11月:
・ここまで世界的なシステミックリスクイベントが起こっていなければ、月初から少しずつドルコストで買いを入れていく
・月末にはMSCIのリバランスがあるため20~28日ごろは安くなる傾向、ここで買い向かう

12月:
・日本株は銘柄によって優勝劣敗となることが知られている(節税のために損が出ている銘柄を売る)→ダメな株は下がり、上がっている株はますます上昇
・MSQ前に停滞、クリスマスにかけて下落することが多い
・クリスマス後、掉尾の一振を期待する論が必ずでるが最近は年末年始にかけて日本株のパフォーマンスが悪い
・今年に限ってはNISAの買いが配当落ち後、年末2営業にかけて入ってくる可能性

1月:
・例年年初に底打ちする傾向が強い
・来年はNISAの買いが相当程度期待されている

2月:
・節分天井と言われているが、大企業の3Q決算で上方修正されていることが多く、ここ数年来底堅い

3月:
・MSQ前に停滞、売り目線で彼岸底と言われる
・最近は世界的な危機が10月ではなく2~3月に起こる

月に関係ないアノマリーとして、
・MSQ前の水曜は下げ
・高配当株は配当落ち後、翌月の安値を拾い半年保有で売却を繰り返す
・株価が高い位置にあるときの決算マタギはしない
など。

まとめると、一部の優良高配当株を除き、とくに指数などの株の長期保有は原則タブー。保有期間は数週間までとして上がったら売る、下がるまで待つ、を繰り返す。

優良株の場合、下がっても損切はせず配当を取って我慢する。資金の余裕があってもレバレッジETF難ピンは1度までとして、反転しないなら損切る。

倒産リスクのない配当ありの大型株なら、難ピンを数年来塩漬け覚悟で繰り返す。配当は取ったら即売り。季節性で、買いに入るのは1月、2月、4月末、8月と、意外にも谷間の時期がお勧め。

※本情報は投資を勧誘するものではありません。また、内容についていかなる保証を行なうものでもありません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行なわれるようお願いいたします。

用語説明

MSQは「Major Special Quotation」の略で、日経225先物と日経225オプションの決済日を指します。

SQは日経225オプションの決済日を指しています。決済日は以下のように設定されています:

SQ:毎月第2金曜日

MSQ:3月、6月、9月、12月の第2金曜日

SQ値は、SQ日に自動算出される価格で、日経平均株価を構成している225銘柄の始値を元に算出されます。

先物では決済日を迎えると強制的にSQ値で清算されます。そのため資金量に物を言わせたヘッジファンドが大量に売り、安くなったSQ値で清算することで利益を上げています。

しかし、価格が押し下げられるため他のヘッジファンドによる買いが入るリスクも高まります。

以上のように売り手と買い手の思惑が交錯するためMSQは株価の乱高下が激しいと言われています。

「魔の水曜日」はMSQ週の水曜日に株価が乱高下することが多いことから出来た言葉です。

なお、「株価はあまり下落しないが株価の変動は激しい」と考えることができます。

つまり、MSQ週に警戒するべきは株価の下落ではなく、株価の乱高下ということです。

MSCIとは、「モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社」の英語の頭文字をとったもので、同社が算出・公表する株価指数の総称を「MSCI指数」と呼んでいます。

MSCI Inc.はアメリカ合衆国・ニューヨークに本拠を置く金融サービス企業で、株価指数の算出や、ポートフォリオ分析など幅広いサービスを提供しています。

MSCI指数は世界の多くの投資家や投資信託などの運用の基準として採用されています。

MSCI指数は先進国や新興国などの市場別や国・地域別、産業分類別など多岐にわたる株価指数を提供しています。

代表的な指数として、全世界の株式を対象とした「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」のほか、先進国の上場銘柄で構成される「MSCIワールド・インデックス」や「MSCIコクサイ・インデックス」などが挙げられます。

ただし、これらの指数は過去のデータに基づくものであり、必ずしも未来に同じ傾向が続くとは限らないため、注意が必要です。

「MSCIのリバランス」は、MSCIが算出・公表する株価指数の構成銘柄の見直しを指します。具体的には、以下の2つの主要な変更が行われます:

銘柄の入れ替え:新たに指数に組み入れられる銘柄と、指数から除外される銘柄が決定されます。

組み入れ時価総額・FIF(外国人投資可能浮動株比率)の変更:既存の構成銘柄の指数におけるウェイト(比重)が見直されます。

これらの変更は年に4回(2月、5月、8月、11月)行われます。特に5月と11月のリバランスは規模が大きいため、株式市場への影響が大きくなります。

リバランスは投資家にとって重要なイベントであり、これらの変更により特定の銘柄に対する需要が増減し、それが株価に影響を及ぼすことがあります。
したがって、投資家はリバランスを通じて投資機会を見つけることもあります。

ただし、これらの情報は過去のデータに基づくものであり、必ずしも未来に同じ傾向が続くとは限らないため、注意が必要です。

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