ロジカルシンキングのためのフレームワーク6選

2020.09.03 株式会社システムインテグレータ
「ロジカルシンキング」とは、物事を要素ごとに分けて合理的な思考や方法論で考えることです。そして、ロジカルシンキングを身に付ける近道は、ロジカルシンキングのフレームワークを1つ1つ自分のものにしていくことです。このブログでフレームワークのイメージをつかんでいただければ幸いです!
情報整理のフレームワーク 「ロジックツリー」
ロジックツリー
【効果】
情報整理ができ、最善の選択肢を探すことができる。
【意味】
選択肢を論理分解していくと、ツリー状になっていくことから、その名がつけられた。「Whyツリー」「Howツリー」ともよばれ、それぞれ「なぜ?」「どうやって?」を展開していくことで見つけたい答えにたどりつくことができます。
【使い方(Howツリーの具体例)】
目標やテーマを決め「どうやって?」と展開していきます。
例えば、目標が「利益を増やす」だとしたら、「利益を増やすにはどうしたらいいか?」と展開します。まずは「収入を増やす」「支出を減らす」という2通りに展開できますね。さらに「どうやって?」と展開していきます。
「収入を増やす」⇒「既存顧客にアプローチする」「新規顧客にアプローチする」
「支出を減らす」⇒「人件費を抑える」「諸経費(人件費以外)を抑える」
これらをさらに「どうやって?」と展開していきます。
「既存顧客にアプローチする」→「DMを送る」「アポイントを取る」
「新規顧客にアプローチする」→「広告を打つ」「SNS運用に注力する」
「人件費を抑える」→「業務を効率化する」「事務仕事をアウトソースする」
「諸経費を抑える」→「節電する」「社用車の台数を減らす」
このように、展開して出てきた選択肢の中から、「これぞ!」と思うものを選択することで、網羅的な検討を経た納得感のある答えを出すことができるのです。
アイデア発想のフレームワーク 「SCAMPER」
SCAMPER
【読み方】
すきゃんぱー
【効果】
アイデア発想の枠が広がる
【意味】
「SCAMPER」とは、以下のワードの頭文字を取ったもの。
Substitute(代用できないか?)
Combine(結合できないか?)
Adapt(応用できないか?)
Modify / Magnify(修正/拡大できないか?)
Put other uses(転用できないか?)
Eliminate / minify(削除 / 削減できないか?)
Reverse / Rearrange(逆転/再編集できないか?)
【使い方(具体例)】
あるテーマを進行役が「SCAMPER」の中から「何かと代用できませんか?」「何かとくっつけられませんか?」「何かに応用できませんか?」と一つずつ質問していきます。
例えば「今までに存在しないイス」がテーマだとしたら、
「何かと代用できないか?」→ イスの素材を「木」ではなく、「紙」にしてみる
「何かに応用できないか?」→ 「ベット」にもできるイス
「何かと結合できないか?」→ イスと「テーブル」を一体化する
このように、テーマと切り口を一つひとつ組み合わせていくことで、強制的にアイデアを生み出すことができるのです。
他にも、あらかじめ「S・C・A・M・P・E・R」を書いたシートを用意して、そこに出てきたアイデアを書いてもらう方法もあります。この時、要素や属性に分け書いてもらうことで、さらに違った切り口で発想することができます。
プレゼン力向上のフレームワーク 「ピラミッドストラクチャー」
ピラミッドストラクチャー
【効果】
要約力が身につき、相手に簡潔に伝えられる
【意味】
自分の言いたいことを頂点として、相手の理解するプロセスが「ピラミッド構造」になっていることから、その名がつけられた。
【使い方(具体例)】
まず、もっとも「自分のいいたいこと」をピラミッドの天辺とします。次に、この「自分のいいたいこと」について、相手がどんな疑問を持つか考えます。その後、出てきた疑問の答えを出します。最後に、出てきた答えに説得力を持たせる説明を考えます。
例えば、「国内市場から撤退すべきだ」という、最も言いたいことがあったとします。
それに対して、「国内市場の見通しが悪いから」「競合が増えすぎ収益率が悪い」「自社の強みはグローバルにある」などを、相手の疑問と位置づけます。「国内市場の見通しが悪いから」は、「市場規模が小さい」「市場の成長率が低い」「人口減少していくから」という説得力のある説明を考えます。

このように、相手の立場になって「なぜ?」を繰り返して、それを説明することで、相手に簡潔に伝えることができるのです。
事業分析のフレームワーク 「SWOT分析」
SWOT分析
【読み方】
すうぉっとぶんせき
【効果】
効果的な企業戦略を打ち出せる
【意味】
「SWOT」とは、以下のワードの頭文字を取ったもの。
Strength(強み)
Weakness(弱み)
Opportunity(機会)
Threat(脅威)
【使い方】
まず、自社の資源の中にある内部環境を把握します。Strength(強み)は何か?Weakness(弱み)は何か?です。
「ラーメン屋」を例にしてみましょう。
強み:駅前で立地が良い
弱み:回転率が悪い
その後、自社を取り巻く外部環境を把握します。Opportunity(機会)となるトレンド、Threat(脅威)となるトレンドを洗い出します。
機会:ラーメンブームが再来している
脅威:近くに競合店が複数できた
これら要素を洗い出したら、「強み×機会」「強み×脅威」「弱み×機会」「弱み×脅威」の組み合わせから、どんな戦略ができるかを考えます。
強み×機会:「ブームに乗っかり、店先に広告を打つ」のような戦略
弱み×脅威:「提供スピードを改善しつつ、他店との差別化を図る」のような戦略
目標達成のフレームワーク 「SMARTの法則」
SMARTの法則
【読み方】
すまーとのほうそく
【効果】
的確な目標設定ができる
【意味】
SMARTとは、以下のワードの頭文字を取ったもの。
Specific(具体的、分かりやすい)
Measurable(計測可能)
Achievable(達成可能)
Realistic(現実的)
Time-related(期限つき)
【使い方】
組織で共通のゴールに達成するためには、チームでどんな目標を、どれだけ共有できるかがカギとなります。
例えば、「月間売上○○万円を達成したい!」と思ったら…
SMARTの法則 | フレームワークの説明 | 具体例 |
Specific | 具体的で分かりやすいかどうか? | 10日で○○万円売り上げる |
Measurable | 成果が計測可能かどうか? | 1契約○万円=1人当たり○件成約する |
Achievable | 達成可能かどうか? | 他部署とのクロスセルに成功すれば、ギリギリ達成可能 |
Realistic | 現実的な目標かどうか? | 過去に○○万円は達成したことがある |
Time-related | 期限はいつか? | 期限は半年以内 |
このように、SMARTに沿って目標をチェックすることで、自分のチームに合った的確な目標が作れるのです。
業務改善のフレームワーク 「PDCA」
PDCA
【読み方】
ぴーでぃーしーえー
【効果】
継続的に業務改善が行える
【意味】
「PDCA」とは以下のワードの頭文字を取ったもの。
Plan(計画)
Do(実行)
Check(評価)
Action(改善)
【使い方】
まず、「Plan」で計画や方針を打ち立て、実現可能な実行計画をつくります。次の「Do」では、「Plan」に従って、実行しながら計画の進捗度を測ります。さらに「Check」で、目標の達成度、成果、手順などを評価し、成功・失敗の原因を分析します。最後に「Action」で、「Check」で得られた改善点を、次の計画にフィードバックします。
そして再び、「Action」で得られたフィードバックをもとに、「Plan」をつくります。以降、このサイクルを繰り返していくことで、業務改善が行えるのです。
知っておきたい点として、「PDCAが破綻してしまう場合」があります。
「P」において、目標や計画が曖昧だったり、あまりに大き過ぎたりする
「D」において、目標や計画の通りに実行されない。
「C」に関して、検証も評価がすっ飛ばされてしまう。
「A」において、失敗や反省が十分反映されず、同じやり方を繰り返してしまう。
最後に
以下のようなフレームワークをご紹介しましたがいかがでしたか?
- ロジックツリー
- SCAMPER
- SMARTの法則
- ピラミッドストラクチャー
- PDCA
- SWOT分析
分析や資料作成などの不慣れな分野の仕事にチャレンジするとき、「***(分野の名前) フレームワーク」を検索したり、先輩に何かオススメのフレームワークや考え方ありますか?と聞いてみると、仕事の質がグッと上がると思いますよ。ぜひチャレンジしてみてください!
ロジカルシンキングの基礎手法(MECE, So What? / Why So?)トレーニング問題あり!
2020.08.14 株式会社システムインテグレータ
基本的なロジカルシンキングの手法(MECE, So What? / Why So?)を学ぶとともに、トレーニング問題へ取り組むことで理解を深めるという流れで解説していきます。一歩踏み込んだロジカルシンキングの記事として、ご活用ください。

MECEとは
どんなビジネスパーソンであっても、上司に報告する機会があると思います。その際に、つい話が長くなってしまい、「それで結論は?」や「何が言いたいの?」と言われてしまった経験のある人、多いのではないでしょうか。
話が分かりにくいと言われたとき、原因の一つは話の重複や抜け漏れです。相手を説得する際に話の抜け漏れがあると、混乱を招いてしまい、相手の理解を得ることができません。物事を体系立てて、説得力のある話し方をするためにはどうすればよいのでしょうか。そこで心掛けるべき事項が、MECEです。
MECEとは、Mutually Exclusive Collectively Exhaustive(相互に重ならず、漏れがない)の頭文字を取ったものです。「ある事柄や概念を、重なりなく、しかも全体として漏れのない部分の集まりで捉えること」を意味します。
MECEの有効性について例を挙げてご説明します。
MECEの具体例
例えば、あなたがレストランにおいて、仕入れを担当しているとします。そこで、新しくやってきた料理長である上司に「うちのレストランでは、どのように食材を仕入れているの?」と聞かれたとします。どのように説明するのが上司にとって理解がしやすい、ロジカルなアプローチなのでしょうか。
①ありがちなパターン(MECEではない)
ありがちなのが、「昨日は野菜・肉・魚を仕入れて、今日は野菜と肉だけです。明日は…」と思いつくままに答えるパターンです。思いついたままに列挙すると、網羅性も損なわれ、上司を混乱させてしまいます。このやり方だと、「もっと整理してから、報告してくれ」と言われてしまうかもしれません。

②曜日別に説明したパターン
少し考えたあなたは「月曜には野菜、火曜には野菜と肉…」と時系列に説明することにしました。最初の説明では思いつくまま説明していたので、それよりは今回の方が、分かりやすいかもしれません。しかし、毎日野菜が登場するなど重複が多かったり、本当に網羅的かを確認しづらかったりすることも事実です。
この仕分けアプローチもしばしば見ますが「いったんストップ、こんがらがってきた!」「他の食材はあるの?」と相手を混乱させてしまうかもしれません。

③MECEなパターン
そこで登場するのが、レストランで取り扱う食材を全体像と位置づけ、漏れなく重なりなく細分化させる手法が、MECEです。
「うちのレストランで取り扱う食材はこれで全てです。定期的な仕入れと不定期な仕入れに分類することができて、定期仕入れの頻度は毎日のものと隔日のものがあります。毎日の仕入れは…」というのは分かりやすい説明ですね。
MECEで明確に全体像を伝えれば、相手はこちらが伝えた内容をすぐに理解し、スムーズに本題の議論に進むことができます。

MECEのトレーニング問題
実際に演習を通して、MECEの考え方を身に付けましょう。
ある消費財メーカーで働くあなたは、上司からこんな相談をされました。「20-30代向けに化粧品の新商品を検討しようと思う。今、20-30代が購入している化粧品の種類(化粧水、乳液など)にはどのようなものがあるか調べてもらえないだろうか。全体像がつかめるように、分かりやすく整理してほしい」
あなたはどのような切り口で、20-30代向け化粧品をMECEに整理しますか?
進め方のポイント
1.まず思いつく20-30代向け化粧品を列挙してみましょう!
20-30代向けの化粧品には、様々な種類があります。
例えば、資生堂の「エリクシール シュペリエル リフトモイスト ローション SP(医薬部外品)」やHAKUの「メラノフォーカスZ 20a 美白美容液(医薬部外品)」、プリオールの「スキンケアお試しセット(医薬部外品)」などがあります。
また、プチプラで手に入るものとしては、アクアレーベルの「バランスケア ローション RM(医薬部外品)」やファンケルの「モイストリファイン化粧液Ⅱ しっとり」、dプログラムの「トライアルセット」などがあります。
デパコスとしては、アルビオンの「アンフィネスホワイト パンプ ミルク W(医薬部外品)」や資生堂の「アルティミューンシリーズ体感キット」、IPSAの「ザ・タイムR アクア(医薬部外品)」などがあります。
2.列挙した化粧品を眺めながら、どんな切り口でまとめられるか考えましょう。
例①)朝起きてから寝るまでの「使用する時間帯別」に分けてまとめる。
例②)化粧品を使う「身体の部位別」にまとめる。
3.考えた切り口に、1.で出した化粧品を当てはめてみましょう。
4.最後に全体、各切り口の中に抜け漏れがないかチェック!

フレームワークの良し悪し、使いどころ
物事を考えるための便利なフレームワーク(例:MECE)はたくさん存在します。ただし、フレームワークありきで物事を考えると発想が貧弱になるという欠点もあります。何かを考えるとき、まずは経験や直感、アイデアを引き出すアイデア発想法に従って、幅広くアイデアを発散、ゼロベースで考える癖を身に付けましょう。
そして、広がったアイデアに対して、フレームワークで整理したり、抜け漏れを埋めていくことで、完成度の高い資料、プランをつくりあげるのがオススメのフレームワークの活用方法です。

So What? / Why So?
「それで結論は?」「なぜそう思うの?」
会社で話していてこんなことを言われたことはないでしょうか。
So What? / Why So?(だから何?/それはなぜ?)は、相手に結論と根拠をスムーズに理解してもらうための手法です。
So What?(だから何?)…手持ちの要素全体、もしくはグルーピングされた要素の中から、議題に対する結論として使えるエキスを抽出する作業
Why So?(それはなぜ?)…So What?した要素の妥当性が、手持ちの要素全体、もしくはグルーピングされた要素によって証明されることを検証する作業

So What? / Why So?のトレーニング問題
実際に演習を通して、So What? / Why So?の考え方を身に付けましょう。
A社はドレッシングを製造している企業です。以下に、業界大手であるB,C社を含めた3社の状況をまとめました。A社の製品戦略を考えるうえで、各社の状況に対する、So What? / Why So?から何が言えるでしょうか?
A社…高級食材店向けの販売に限定したドレッシングが主要大都市にてシェアを伸ばし、売上の6割を占める看板商品にまで成長している。
B社…ノンオイルで健康志向のドレッシングが高齢者に支持されており、老人ホームなど高齢者施設において売上が増加。
C社…スーパーにて小サイズで購入できるドレッシングが若年層世代において人気に。SNSでも話題になっている。
進め方のポイント
まずはA,B,C社それぞれの状況から要素を見つけ出し、So What? / Why So?を考えてみてください。
次に、3社から出てきたSo What?の結果に対して、さらにSo What? / Why So?で考察を深めてみましょう!業界全体の状況を捉えた結論(仮説)を得られるでしょうか?
さいごに
今回は、MECE、So What? / Why So?という2つのロジカルシンキングの手法をご説明しました。日々のクライアントや上司とのコミュニケーションにおいて効率的に相手を説得し、あなたの評価を向上させることができるかもしれないロジカルシンキング。日頃の業務で取り入れていけるといいですね!